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プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の歯磨き粉「クレスト(Crest)」は、顧客の求めるニーズに合致した商品です。一度は勢いが弱まりましたが、その後再構築を図り、アメリカの国民的なブランドへと生まれ変わしました。ブランド化の苦労と成功の歴史を振り返ります。

1950年代中頃に発売された「クレスト」は、破壊的技術の典型でした。フッ素を強化した歯磨き粉の発売によって、虫歯を防ぐフッ素治療は、高価で通院が面倒な歯科医から、家庭で安価に簡単にできるように移り変わりました。

P&Gはこの新商品を、既存の歯磨き粉「グリーム」の一角としてポジショニングすることもできましたが、新しい目的ブランドを構築する道を選びました。それが「クレスト」であり、特定のジョブを処理する独自のポジショニングが行われました。子どもの虫歯を予防したい母親たちは、「クレスト」という言葉を見聞きすることで、この商品が虫歯予防というジョブのために設計されていることを理解しました。

「クレスト」はそのとおりの商品だったため、母親たちの信頼を集めることとなりました。実際のところ、「クレスト」と銘打たれていない商品には虫歯予防という効能がないのではないかと疑われたほどです。

虫歯予防といえば、だれもが「クレスト」を連想するくらい、そのブランド価値は高まりました。そして「クレスト」はアメリカのあらゆるライバル商品を追い抜き、10年の長きにわたって歯磨き粉市場のリーダーとして君臨し続けました。

しかし、立ち止まってしまえば、トップの座に居続けることはできません。ライバルたちはやがて「クレスト」の虫歯予防の機能を真似して、虫歯予防をコモディティ化してしまいました。他社が、風味や口内の感触を改良したり、重曹を加えたりするなど、他の特徴を改良した結果、「クレスト」の市場シェアは失われていきまし。P&Gも、逆にこのような特徴を真似し、宣伝し始めました。

ところが、P&Gは「クレスト」のエンドーサーとしての効果に新しい目的ブランドを追加しませんでした。そして、ついにはブランドの独自性も失われていきました。

1990年代末、「クレスト」の新しい担当チームは、2つの破壊的イノベーションを市場に投入しました。そのいずれも、独自性と具体性を兼ね備えた目的ブランドでした。

第1の破壊的イノベーションは、ドクター・ジョンという新興企業を買収し、その旗艦商品である電動歯ブラシを「クレストスピンブラシ」という新たなブランドとして市場に再投入したことです。この商品の価格は5ドルとしたが、当時この金額は競合商品の価格を大きく下回っていました。

さらに、第2の破壊的イノベーションとして「クレストホワイトストリップス」を投入しました。これは、歯科医の料金をはるかに下回るたった25ドルで、家庭でも歯のホワイトニングができるという優れ物でした。このように革新的な目的ブランドを市場投入したことで「クレスト」は再び成長軌道を描き始め、デンタル・ケア市場全体のシェアでトップの座に返り咲きました。 

戸川利郎

参考:
https://ws.aspnet-japan-solidarity.asia

http://www.aspnet-japan-solidarity.asia/en/

http://www.fairladyz-collection.jp/global-mobility-service/
# by ka0rta-s05s | 2020-03-18 10:59 | 戸川利郎

有名ブランドや世界の一流企業の評判・歴史・口コミをレビューします。~戸川利郎


by 戸川利郎